「やりたいことは若いうちにやっておきましょう」
社会経験を積んだ人生の先輩たちの多くが、そう言います。
親からの助言や、SNSで拡散されている言葉などでも頻繁に目にかけるのではないでしょうか。
10代は金銭的な余裕こそないものの、社会人として働き始める20代以降と比べると、時間を自由に調節できる環境にあります。
でもやりたいことに夢中になるあまり、ついつい夜更かしの習慣が身についていませんか?
◎夜、どれぐらいの時間寝ていますか?
10代に必要な睡眠時間は、8~9時間と言われています。
長いと思いましたか?短いと思いましたか?それとも、普段からそれぐらい寝ているでしょうか。
多くの人が「そんなに長く眠れない」と思ったのではないかと思います。
例えば朝7時に起きるためには、夜の10~11時に寝なければいけません。
家に帰って勉強したり身の回りのことをしたりしているうちに、気づいたらそれぐらいの時間にはなっていると思います。
特に何かしらの家でできる趣味を持っている人は、あっという間に感じるはずです。
そこで「まだ大丈夫」と考えて遅くまで起きてしまうと、当然のことながら睡眠時間は最低ラインである8時間より短くなってしまいます。
とはいえ、6時間ぐらい寝られれば、ある程度は寝たと感じられるのではないでしょうか。
確かに6時間も寝ていれば、翌日に大きな影響が出ることはそれほどありません。
少し「寝不足気味だな」と感じる程度でしょう。
しかし実は、その2時間の差は「睡眠負債」として体に蓄積されているのです。
◎いつの間にか体に蓄積!?睡眠負債とは
「睡眠負債」は、アメリカの大学の研究者が提唱した言葉です。
多くの人が「睡眠不足と何が違うのか」と疑問に思うことでしょう。
「負債」という言葉が使われている理由は、その性質にあります。
睡眠不足は、例えば前日に徹夜をした時のような、睡眠が極端に足りていない状態のことを指します。
こちらは顕著に翌日の体調や気分に影響を与えるので、自分も周りも体調不良に気がつきやすいでしょう。
一方、睡眠負債はそのような極端な睡眠の不足ではなく、6時間睡眠などちょっと短い睡眠が習慣になったことで長期間に渡り少しずつ睡眠不足が蓄積された状態を言います。
睡眠時間を借金のように見立て、積み重なっていく様子が負債のように見えることから、睡眠負債と名付けられました。
睡眠負債は比較的新しい言葉ではありますが、体や心に悪影響を与えると言われています。
厄介な点は、自分が睡眠負債を背負っていると気づきにくいということです。
徐々に体に影響が出てきて、勉強や運動の質の低下を招く恐れもあります。
気づいた頃には日常生活に支障が出るレベルの影響が出てしまう可能性があるのです。
◎睡眠のリズムを整えることが未来の健康につながる
特に10代は、睡眠負債を溜めない方がいい年代と言えるでしょう。
なぜなら、10代は体や心の成長期。
睡眠はその成長のために必要不可欠だからです。
それだけではありません。
睡眠リズムの乱れをズルズルと引きずっていくと20代以降の習慣や健康にも関係してきます。
今は若さによるリカバリー力があるかもしれません。
だから、「短い睡眠時間でも元気だから大丈夫!」と思う人もいるでしょう。
しかし、睡眠負債は確実にあなたの体を蝕んでいます。
毎日8時間以上の睡眠時間を確保する、そして規則正しい生活を送ることが、ずっと大人になっても健康でいるための秘訣ですよ。