身体がゆるむと呼吸が深くなり、背中やお腹が温かくなる。
そして心身共に十分にリラックスすると、身体はバランスのとれた音が響き合うような状態になります。
また、身体の響きというものは、内側だけではなく、外側にも漏れ出ていて、無意識のうちに、近くにいる人と共鳴しあっているんですね。
身体がふわりとゆるんだ響きのよい状態になっていると、それは周りにも伝わります。
そばにいる人の身体も、こちらの響きに反応するかのようにゆるむのですね。
整体やカイロプラティックなどの施術現場にて、夫婦や親子、友人などふたりでやってきて、片方が整体を受ける間、そばで待っているもうひとりの人も、リラックスして眠くなることがよくあります。
これも、身体の共鳴のひとつといってよいでしょう。
こうした無意識の身体の共鳴は、あくびがうつるというような、日常的なできごととして起こっているんですね。
ところが、リラックスする共鳴がある一方、リラックスできない状態もあります。
たとえば、緊張度の高い、イライラした感じの人がそばにくると、こちらの身体も自然に硬くなってしまい、気疲れするということがありますね。
人がそばにいるとき、それだけで互いに無意識の身体の反応が起きています。
その響きの調和がとれて、共鳴しあっているとお互いに楽になるし、音がぶつかり合ってしまうと、お互いの緊張度が高まって疲れてしまうというわけです。
では、お互いの緊張をほぐし、リラックス状態になるのに、即効性がありそうなのが、一緒に食事をすることです。
食事を共にすることで、場の緊張感をほぐし、人間関係もなめらかにしてくれることは、多くの人が経験的に知っていることですね。
人はものを食べるとみぞおちの緊張がゆるみます。
人と対面したとき、もっとも緊張しやすいのが胸からみぞおちの部分ですが、食べると、食道や胃、腸が動き、みぞおきの緊張が一気にゆるからです。
このように、身体のポジティブな共鳴をうまく利用するのが、整体的アプローチの基本です。
骨盤の過度な緊張がゆるみ、深い呼吸が引き出されたとき、身体本来がもつ力を取り戻し、発揮することができるというわけですね。
のびのびとした呼吸や、ゆるんだときのお腹が温まる感覚を体感すれば、誰でも身体を最適なバランスに調整することができるのです。